（敬天新聞 令和６年２月号 ３面）
| どうする柏木 |
昨年12月13日、長崎県西海市江島沖の促進区域において公募していた洋上風力発電事業について、国が住友商事株式会社と東京電力リニューアブルパワー株式会社を構成員とする「みらいえのしまコンソーシアム」を発電事業者として選定したことを発表した。
これは弊紙の記事でも、問題視してきたエネオス系列のＪＲＥ（ジャパン・リニューアブル・エナジー(株)竹内一弘社長）から金を貰って（名目は海域調査）、一帯の海域を占有していた疑惑の中心人物である柏木世次氏（通称タコ坊主）の「敗退」が決まったということに他ならない。
敗退とは「負けた、違法な占有は認められなかった、言ってることはみんな嘘だった」という事が公になったと言う事である。
名古屋弁で言うと「早く出て行ってチョ」という解釈になろうか。長崎弁では「あたんな負けたけん、早よ出て行かんね」ということになろう。
ここで意地を張っていたら、当局が満を持してガッチリ動くだろう。大法螺吹いて島民を恫喝していた実態も、これからは時化で霞んで行くのではないか。幾ら島民が１００人にも満たない孤島だと言っても、島民の考えも無視して、行政が進んでこんな暴力男と手を握ることが、今の時代に許されるわけがない。
四十年前に都会で大流行した「地上げ」行為（もちろん今は禁止）を海バージョンで、しかも暴力で実行しようとしていたわけである。それを長崎県の政治・経済情報に詳しいＪＣネットが、先掛けて詳しく報道していたのである。
ジャパン・リニューアブル・エナジー(株)竹内一弘社長
| 威迫・恫喝の事実 |
これまで、まだ入札も行われていないのに参入を希望していたＪＲＥが、地元の利害関係者に資金提供することで、事を容易に進めようと謀った疑いが浮上していた。
それまで普通の漁師に過ぎなかった柏木世次氏が、漁協組合などの一団を牛耳り、ＪＲＥから「海域の調査」という名目で、十数億円という金が提供された疑いが浮上していた。これらの一団には西海市の杉澤泰彦市長や地元の県議も絡んでいると噂されている。
資金提供を受けたとされる柏木世次氏は、西海市に洋上風力発電の事業計画が浮上して以降、高級外車を何台も購入したり、新造船を６艇も購入したり、自身が関係する社屋や一棟建マンションを購入するなど、生活振りが一変していた。
また市長や市職員を懐柔するほど事業を推進する立場での強い言動と暴力的な振る舞いが目立つように成り、自身の意に背く者には、容赦なく威迫・恫喝を行っていた。
その恫喝の証拠音声が動画配信サイトYouTubeにも流れている。それは暴力団さながらの脅し口調で明らかに威迫行為である。
柏木世次氏は過去に和歌山県が行った公共工事の入札で、談合に応じなかった業者を監禁して入札を妨害したとして逮捕されたことや、全身に入れ墨を入れて、法外な利息を取り立てる高利貸しを営み逮捕された過去がある。
現在、恫喝被害を受けた江島の行政区長の一人が、長崎県警に相談し、被害届が受理されているそうだ。
柏木世次の恫喝音声はYoutubeで公開されている
| 金の流れを暴け |
エネオスは自然エネルギー事業に乗り出すために約４００億円の資産価値しかない再エネ新興企業ＪＲＥを２０００億円で買収していた。場所は何処でもいいから、事業に参入したいという意気込みが伝わってくる。
しかし、何を勇み足しをしたのか、エネオスの杉森務会長(当時)は一昨年に突然辞任する騒動を起こしていた。
弊紙が一昨年の７月、ＪＲＥに、柏木世次氏への資金提供について取材したところ、回答は「柏木氏個人への資金提供はしておりません」というものだった。
それでは「個人ではない」にしても、柏木世次氏の関係する団体や実権を握る組合等に資金提供したのでは？ それを私的流用したのか？ という疑いが残る。
そこで改めて昨年の８月、ＪＲＥに対して「柏木氏が理事を務める西海江島地域の漁協」並びに「柏木氏が代表理事である江島漁船安全対策協議会」に、或いは「他に柏木氏が関係する会社や団体」に資金提供はしていますか？ という質問をしたところ、「海域の調査などでご協力をいただいております」という回答が届いたのである。
それでは、なぜ入札業者も決まってないうちから、「我々はＪＲＥ以外の業者は認めない」と豪語して、意見する者には、怒鳴り散らして威嚇し、実質的に海域を占有していた柏木世次氏が、自身が関係するマンションの他、数隻の船や高級外車を購入するなど、生活が一転するほど金遣いが荒くなったのか？
その実態が当局によって暴かれる日が来るまで、この問題を引き続き追及していく必要があるだろう。
国の選定結果に合わせて発表した杉澤泰彦西海市長のコメント(クリックで拡大)